1995年10月24日号

(No.85)


                     Nutsの表紙です

@週刊Nuts「平成の目安箱」

村山首相様
前略
 首相、今、ニューヨークにいらしてるんでしょ。電話して頂ければ、ニュー ヨーク案内の-とつもしましたのに・・・。
 さて、先週の続きであります。前回は、「パリ症候群」に見られる傾向を 例として上げ、その5つの指摘に、「パリ」を「ニューヨーク」に置き換え て、”私”が答えました。つまり、パリのように、ここニューヨークに住む 日本人の間にも、「ニューヨーク症候群」というものがある、という前提で、 その5つの鋭い質問に”私”が一個人の経験と考えで答えるというものでし た。
 いやー、質問に答えるの、結構面白かったですよ。この街に自分がどうい う気持ちで来て、今何を考えてて、そして、これからどこに行こうとしてる のか、ということを、ボンヤリとですが、頭に思い浮かべることができまし た。
 そこでです。調子に乗って、数人の友達に、同じ質問のアンケートを取り ました。なかなかイイですよ。回答は以下の通りです。
@『日本がいやになった。』
 「というより、世界を見たかった。日本が世界の中の1つの国である事は 知っていた。」
 「NO。会社勤めを辞め、何をして良いかわからず、とりあえず、時間か せぎにやってきた。知人もいたという事で。」
 「いやになった訳ではありません。」
 「それはありませんでした。第一、日本が好きか、外国が好きかなどは、 あまり考えたことがありませんでした。」
@『ニューヨークに過剰にあこがれる。』
 「今はありませんが、中学、高校の時は、けっこうあこがれてました。」
 「それはありません。ニューヨークというイメージは、メディアから等の 影響で持ってはいましたが、それにあこがれる思いはありませんでした。」
 「くやしいけれども、ニューヨークで一番になれば、世界で通用するよう な気がしていた。まったく間違いではないが・・・。」
 「NO。NYへは2度程来ていたので、良く知っていた。NYは東京に似て いる所が多く、くらし易そうに思った。」
@『日本人に対して「この田舎者め」と思ってしまう。』
 「時々。よその国に来て、何も考えず、日本流を押し通し、周りに迷惑と 誤解を与えるヤツラ。又、自分でそれに気づいていないヤツはもっとこわ い。」
 「私が田舎者なので思いません。」
 「思いません。」
 「時々思ってしまいます。妙にアメリカナイズされているような服装や髪 型をしている若者、頭を茶色に染めて、日本人のきれいな黒髪の価値を無視 してる者に対しては、遂に、超日本人ぽく、田舎者に思えてしまう。」
@『日本-会で自由に泳ぎまわれなかった。』
 「そんな事はありませんでした。」
 「今から考えると、そうだと思います。日本の見えないルールに沿えなく て、人から色々言われた事がありました。」
 「来る前は、なんやかんや言って、クロールですばやく泳いでいたが、今 はどれだけ自由に泳げるか、正直言って不安です。」
 「NO。かなり好きな事をさせてもらった。生まれてから会社を辞めるま では。しかし、25才過ぎて、フリーターでいるのは、世の中で許してもら えないようだ。
@『日本に席を失ってしまった。』
 「NO。しかし、会社での席は失ってしまった様だ。日本の席は失ったと 思っていない。席は自分でみつけるものだから。どこにいたって、あるもの はある、ないものはない。前の質問に対する答えの後半でいった事(「25 才過ぎて、フリーターでいるのは、世の中で許してもらえないようだ。」) は、つまり、単に自分の席をみつけていなかったから、そう感じたのかも。」
 「日本にまだ私の席はありますが、小学校の席がえが楽しみだったように、 新しい席を見つけられることを楽しみにしてます。でも、いつまでも同じ席 にしがみついている人間にはなりたくないです。」
 「自分では、まだ失ってないと思っています。」
 「(失ってる)かもしれません。日本を外から見て、日本の四季や日本人 の良い所などを海外にいて、なつかしく思って、日本をもっと好きになった にもかかわらず・・・。もしかしたら、客観的に見る目を持った時点で、席 を失ってしまったかもしれないのです。だって、自分を日本人だなーと思う 客観的な見方をする日本人って少ないと思います。そして日本人は違う人を けむたく思う人種ですから、私の席はないかもしれません。」
以上です。
 まだまだこのテーマで行きます。では、また来週。 草々
              「週刊Nuts」編集人 竹永浩之 

「”日米カセン”を助けよう」

 突然ですが、このNutsが日米カウンセリングセンターのヘルプをします。
 詳しくお話ししましょう。ニューヨークに日米カウンセリングセンターと いう精神治療を行う非営利団体があります。要するに、精神的にまいってる 人、悩みのある人などがカウンセリングを受けることのできる施設です。そ この利用者は、日本人及び日系人。かなりの数の方が利用してるらしく、予 約はいつもいっぱいだそうです。
 この「日米カセン(日米カウンセリングセンターの略です。私が勝手に作っ たものです。)」が、現在、閉鎖の危機に面しています。これまでニューヨー ク市から間接的に支給されていた予算がカットされることになったのです。 さて、困りました。日米カセンには、2人のカウンセラーの方が働いている のですが、この方たちの給料さえ払えなくなりました。一応、カウンセリン グ料を20ドルに引き上げたそうなのですが、それでも足りません。残され た方法は、「自分たちでお金を集める」ことのみ。ファンド・レイズ(基金 集め)というヤツですね。でも、非営利団体ですから、道でホットドッグを 売るわけにはいきません。募金とかチャリティーイベントでお金を集める、 という形になります。
 そこでです。今度、日米カセンがチャリティー講演会を開くこととなりま した。内容、日時、場所、会費は以下の通りです。
『日米カウンセリングセンター・チャリティー講演会』 内田忠男(テレビ朝日 国際問題専任キャスター)  「ニュースの中の人間」
竹友安彦(アルバート・アインシュタイン医科大学名誉教授)  「サイコセラピーについて」
日時:11月8日(水)6:30PM 開演 場所:日本クラブ(145 W 57th St.) 会費:10ドル
参加ご希望の方は、下記の番号までご連絡下さい。        Tel (212)787-7741
 また、日米カセンでは善意の寄付金も受け付けています。寄付金には税金 の控除があるそうです。
チェックの宛先:HAMILTON-MADISON HOUSE, JAPANESE         UNIT チェックの送り先:236 WEST 72nd St. New York, NY 10023
 話の内容は、大体分かりましたか? 簡単に言うと、日米カセンがつぶれ そうで、その基金集めのイベントがあって、Nutsでそれを宣伝して、今後も 力強くサポートして行こうという話です。
 私は思います。やっぱり、しっかりとした日本人コミュニティーをこの ニューヨークに作っていくためには、そのコミュニティーを構成する重要な 部品のひとつである、日米カセンさんのような団体を大切に育てて行くべき です。ひとつ一つの部品が輝いてこそ、日本人コミュニティー全体が輝くと いうものです。
 また、この団体は、私たちの心の面倒を見てくれるところです。日本人で ある私たちが、このニューヨークという街で生活して行こうとする時、やは りいろいろな障害にぶつかります。心がザラザラになることだってあります。 そんな時に「ホッ」と一息つける場所が、日本人コミュニティーの中にもあ るべきだと、私は考えます。
 この団体は基本的に、二人のカウンセラーの方たちの手で運営されてきま した。カウンセリングしながらの運営、さぞかし大変だったことと思います。 でもこれからは、それに加えて、ファンド・レイズのことも考えねばなりま せん。今回の講演会は、単なる第一回です。今後も続けてやって行く必要が あります。これまでよりもっと大変になるわけです。
 そんな状況を見て、黙っているわけにはいきません。私たちも何か一発や りましょか。いや、一発だけじゃなく、何発でもやってしまいましょう。  Nutsはこれから、この日米カセンさんと長いお付き合いをしていきます。 ちょっと積極的にこだわりますよ。皆さんも温かい目で日米カセンさんを見 守って上げて下さい。よろしくお願い致します。では。     
          編集人

「VOICE」

@例のインターネットを使った抗議文運動の話です。
 この運動、現在、かなりの広がりを見せております。すでに相当な数の抗 議文が、その送り先である、中川秀直衆議院議員のアカウントにメールされ ているはずです。へっへっへ。
 ここで、もう一度、その抗議文運動への参加の仕方を説明しておきます。
 まず、私にメールをください。アドレスは、hiro@interport.net です。 「抗議文がほしい」。それだけで結構です。そして、私があなたのアカウン トに抗議文を送ります。その時、中川さんのアカウントも明記しておきます ので、ご心配なく。で、その抗議文に、あなたの名前と住所をタイプして、 中川さんに送って頂ければ、すべて完了となります。
 では、インターネットにアクセスできない方は、どうするか? ハガキ攻 撃をいうのも用意しました。ハガキの場合、宛先は、自民党総裁の橋本の龍 ちゃんになっています。現在、サッポロレストラン、JBC、東京ビデオ、サ ンボクにそのハガキを設置してあります。参加したい方はそれらの場所にて、 お取り下さい。
 話は変わります。先週の火曜日、10月17日に、半年ぶりの「Nuts井戸 端会議」を開きました。テーマは、「Nutsに文句があるのは誰やねん」。参 加者は、身内を入れて3人。大盛況というやつですね。
 でも、これはどう取ればいいのでしょうか? 文句ある人がいなかったの か? それとも、最初から相手にされていなかったのか? 難しいところで す。考えましょ。
 これからは、なるべく毎月、井戸端会議を開くようにします。よろしくお 願いします。
 あと、今週は「Nuts世界観光案内」はお休みしました。
 急激に寒くなりました。この前、秋風のブンブン吹く中、薄着で友達を待っ てたら、死にそうになりました。ブルブル震えながら、なかなか現れないそ の友達を、頭の中で30発ほど殴ってました。今の季節、彼氏と彼女の間で も、こんなトラブルが起こりがちです。ひとり、心も身体も寒い冬を迎えな いように、薄着には気を付けて。ニューヨークの秋をナメてはいけません。 一番ナメとるのは、私だったりなんかして・・・。
 では、また来週。              編集人
@以前、素人書評紙『本の紙』というのを発行しかけました。結局、「あん まり面白くねえべ。」と一人で判断してしまい、その企画はオジャンになっ てしまいましたが、そのザンガイたちが、まだ私のコンピューターに入って たことを、最近、思い出しました。このまま死なせるのは惜しいと思い、そ のザンガイたちをNuts紙上で紹介することにしました。題して、「本の紙の ザンガイたち」。軽く読み流して下さい。  編集人
『K2に憑かれた男たち』 本田靖春
 私は植物アレルギーである。よくそれで昔サトウキビ刈りなんかやってた もんだと、自分でも感心するのであるが、私は、神に誓って植物アレルギー である。従って、自信を持って、私は山が嫌いである。
 山嫌いの理由はもう一つある。私は高山病に強く愛されているのである。 大体2千メートル以上行くともうダメ。脳の血管に水銀を通したような痛み を発してまうのだ。また同時に、体内からヤル気、根気、元気の「3気トリ オ」が消滅してしまう。であるから、標高2千メートル以上では、私はただ の73キロの肉塊と化してしまうのである。
 さて、K2であるが、ご存じの通り、世界で2番目に高い山である。パキス タンのカラコルム山脈の中に位置している。一応、この本が、あの憎き「山」 の物語であることは読む前から分かっていた。文中にあの忌々しい高山病が 頻繁に登場することも予測できた。でも、私は読んだのである。なぜなら、 この本は基本的に「人」の物語である、と解説に書いてあったからなのだ。
 確かに主人公は「人」である。登山隊の人間関係というのが、この本の最 も重要なテーマである。ドロドロベッタリの日本人野郎どもの人間関係が展 開される。美しくはない。この本はノンフィクションであるからして、作者 はこのような「美しくもないドロドロ物語」を書くのに苦労したと思う。だっ て、普通、取材先の手前もあって、書き辛いじゃん。エライと思う。でも、 やっぱり山は憎いのよね。
 山嫌いの人は、この本を読むべきではない。以上。 ひろ
               (文春文庫 定価380円)

この前、私の顔を見て、「ニコッ」と笑いかけた日本人女性がいた。知らな い人に笑いかける日本人ってめずらしい。感動の日曜日の午後であった。
  ひろ  

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Hiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net