1995年11月7日号
(No.87)
Nutsの表紙です
@週刊Nuts「平成の目安箱」
村山首相様
前略
日本は、意外と暖かい秋のようですね。ニューヨークは、雨と晴れとが繰
り返す、忙しい天気です。
さて、「ニューヨーク症候群」の続きです。先週は、「パリ症候群」にか
かりやすい人たちの中のひとつ、「留学生」について、「では、ニューヨー
クの留学生はどうかいな?」と考えてみました。今週は、二つ目の「現地の
事情もよくわからないまま国際結婚した日本人妻」を取り上げてみましょう。
この本、『在外日本人』(晶文社)には、こう書いてあります。
「彼女たちには経済的な自立基盤がありません。社会生活を営むための言
葉もよく通じない。孤独に陥りやすい。」
そして、本には、その結果として、「強い自律神経失調症がでたり、抑う
つ状態や妄想状態」になるケースがある、と書いてあります。
では、ここニューヨークでは、どんなもんなんでしょうか?
私の知ってる限りでは、そのようなケースはありませんね。まあ、国際結
婚した日本女性を数人しか知らないわけですから、一概に、「そんな人はい
ません。」とは言えないのですが、少なくとも私のまわりにはいません。
でも、こんなケースはあるかもしれません。
「親やまわりの反対を押し切って、こっちの人と結婚した。本気で好きだ
と思ったから。
ここに住み始めて、いろいろな事を考える。ここまま、ここで一生暮らし
て行くのか。これが自分が本当にやりたかったことなのか。今の自分は輝い
ているのか。この人と、ホントに一緒にやって行けるのか・・・。
グリーンカードは欲しい。グリーンカードを取ったら、ここにいれる。だ
けど、いて何をしたらいいのか・・・。
今の生活に不安がある。自分の好きなことをやってる人たちを羨ましく思
う。でも、そんなこと、誰にも言えない。親にも、友達にも、誰にも言えな
い。言ったら、今の自分がボロボロに崩れて行きそう・・・。」
これは完全にツクリです。かなり極端な例です。でも、もし自分が女性で、
まわりの反対を押し切ってアメリカ人と結婚し、ついでにその彼とあんまり
うまく行かなかったら、こんなふうになってもおかしくないと思います。
No-way-outの孤独感、というヤツですね。もし、この孤独感にズッポシはまっ
てしまったら・・・、そりゃ、自律神経失調症になる可能性もあります。
繰り返しになりますけど、私が挙げたようなケースは極少数のはずです。
でも、そのようなケースが起こる可能性は否定できません。では、どうする
か? 「もっと考えて結婚しろ」キャンペーンでも始めますか? それとも、
「ガイジンと結婚するな!」とはっきり言いますか?
私は、国際結婚、イイと思います。経済的な自立基盤がなくても、社会生
活を営むための言葉があまりできなくても、やりたいのなら、やればいいの
です。成功する人は、成功する訳ですし、失敗する人は、どんなにモダエて
も失敗するのです。問題は、失敗した時のまわりの対応の仕方です。まわり
が、「それ、見たことか!」態勢ではいけません。この態勢は、日本人には、
ありがちです。「だから、ガイジンと結婚するとロクなことねえだろ」的考
えが心をスッとよぎっちゃうんですよね。恥ずかしながら、私もたまに、そ
んな考えが心の片隅に現れたりします。でも、それじゃ、いけないんです。
やっぱり、「失敗したの? あ、そう。じゃ、少し休もうか。」的「いつで
もどこでも柔らか対応」態勢であるべきです。失敗した人が、できるだけ孤
独感の深みに陥っていかないような環境作りが必要だと思います。どちらか
と言うと、「予防」よりも「リハビリ」ですね。首相は、どうお考えになり
ますか?
今週はこの辺で。では。 草々
「週刊Nuts」編集人 竹永浩之
「Nuts世界観光案内」アジア放浪編・パート10
その鋼鉄のサンドバックに、自分の足がなじみ始めた頃であった。
太郎君という日本人の青年がいた。同じジムでトレーニングし、同じゲス
ト・ハウスに泊まっていた。年の頃は、18、9。純日本風の顔をしていた。
彼のバンコク滞在目的は、バリバリの「ムエタイ」であった。当人曰く、
「本気で練習しに来てる」そうで、「ものは、試しに」練習している私とは、
気合い上、かなりの違いがあるはずだった。
ところが、である。この太郎君、時々、ムエタイへの愛を忘れ、その替わ
りにドラッグを熱烈に愛してしまうのであった。
太郎君の朝は早い。私たちが通っていたムエタイジムの朝練に参加するの
である。排気ガスの充満するバンコクの朝を、ムエタイ小僧たちと一緒に走
る。当然、身体には、悪い。でも、そんなことお構いなしに走る。それが終
われば、今度は、ジムでの練習。バッチン、ボッコンと蹴り合い殴り合いが
始まる。その練習が中盤に差し掛かった頃に、私が「フンガー」とアクビを
しながら登場する。その頃には、太郎君の肌を汗がダラダラ流れている。
朝練が終わる。私は、大して疲れてないから、いつもの道に座り込みに行
く。太郎君は、ゲスト・ハウスに戻り、寝る。ここで、太郎君のドラッグ好
きがよく現れたりした。
午後の練習が始まろうとする頃、私は、太郎君を起こしに行く。太郎君は、
ベッドにグタリと寝ている。普通のグタリではない。死体のようにグタリと
である。「太郎君? 太郎君?」と起こそうとする私。ほとんど反応しない
太郎君。「死んでるんじゃないか?」と一瞬思うが、息は、してるようだ。
しばらくして、太郎君は、ゆっくりと目を開ける。私は「ギョッ」とする。
目が完全にトんでるのである。普通のトび方ではない。高度1万メートルぐ
らいトんだ感じである。
一応、礼儀上、「どうしたの?」と聞く私。すると、太郎君、「いひゃー、
ドヒャックやっひゃってへー。」と、ほとんど日本語とは思えない言葉をは
いた。「ドラッグって?」、「エクフタヒー(エクスタシー)とひうヒャフ
なんでふけどへ。」、「エクスタシー?」、「ひょう、エクフタヒー。スゴ
いっひゅよ。」
そのスゴさは、よくわかった。太郎君の目がすべてを物語っていた。何や
ら、売春のねえちゃんからもらったモノらしい。軽い気持ちでやったら、
「バッコーン!」と来たいう。動いてるのは、口だけ。手も足も首も、そし
て、眼球さえも動かせなかった。確かに目は開いている。でも、その目は、
遠いお伽の国を見つめていた。
「練習、どうすんの?」、「いひゃー、いいっふひょー。」、「あ、そう。
そんじゃね。」
というカンジで、私はひとり練習に行く。そんな事が何回かあった。
すごく純粋でイイ子だった。サンドバックを蹴っている時の彼の目は、確
かに輝いていた。でも、である。そのうち彼は、練習にも行かなくなり、ド
ラッグとの共同生活を本格的に始めた。たまに女の子も買ってるようだった。
「ハッシッシ(マリファナ)やってセックスすると、チン○、堅いままな
んですよね。」
そう言った時の彼の目も、確かに輝いてたな。それも人生、これも人生。
そんな太郎君という子がいたというハナシ。 Hiro
「VOICE」
@私は現在、5年間交際してきたアメリカ人男性との結婚について、両親の
説得に悩んでいます。彼は日本で働いている時に私と知り合い、4年間交際
したのち(再就職が決まり次第、結婚の計画を立てる予定で)アメリカに戻
り、つい最近、就職先が決まったところです。
アメリカに住む彼の両親と私とは何度も面識があり、私たちの結婚も当然
のことと考えてくれていますが、私の両親は彼と面識があるものの、結婚と
なると「娘がアメリカ人と結婚し海外に在住する」ということに対する漠然
とした不安を抱いていて、親の死に目に会えないかも知れないこと、私が万
が一事故に遭った時の対応や、彼と離婚した時のことなど一から十まで想定
しては心配し、なかなか納得してもらえません。感情的な面と超現実的な面、
双方の思いがあり、説得のしようがありません。
もちろん彼には、私の両親に会って、現在の雇用契約の内容や将来性、結
婚やその後の生活についての計画などを説明してもらうことにしていますが、
私としても両親の不安を少しでも和らげ、国際結婚について理解を深めても
らえるように、具体的な資料などを揃えたいと思っています。
私の両親に、彼(私)の人間性や誠意だけでは説得できない、このような
問題について、どのように説明していくのが良いのでしょうか?
実際に国際結婚をされている方や外国人の恋人のある方の体験談、具体的
な解決策を聞かせていただけないでしょうか?
いまのような状態で両親と話し合うとどうしても感情的に対立してしまい
ます。客観的な立場でご意見を頂けたら幸いです。 U・T子/会社員
@私はこんな人間になりたい。
私が働いている日本食レストランでの話。
私の担当のテーブルに、アメリカ人女性二人が座っていた。おしゃべりし
ながら、食事をしている。
そのうち、一人がテーブルを立ち、外にタバコを吸いに行った。残された
もう一人は、暇そうに中空を見つめている。と、突然、私を見た。そして、
手招きする。「なんだ、なんだ」と行ってみると、あさりの味噌スープがほ
しいと言う。「かしこまりました。」とキッチンにオーダーを入れる。
もう一人が、外から戻ってきた。また、おしゃべりが始まる。
あさりの味噌スープが出来上がる。トレーにのせ、そのテーブルへと持っ
ていく。そして、彼女の前に置いた瞬間、彼女が「ごめんなさい。いらない
わ。」と軽く言い放った。
ここがポイントである。私は、普通だったら、「それはないで、ねえちゃ
ん。頭からかけるよ。」調に怒るのであるが、この時、怒る気にもなれなかっ
たのである。その「ごめんなさい。いらないわ。」という言葉が、あまりに
も素直で、あまりにも悪気がなくて、あまりにも切れ味が良すぎて、プッツ
ンできなかったのである。よく切れる刀で斬られると痛くないという。それ
と同じこと。大根をサクッと切るかのように、軽やかに斬られてしまった私。
これだけの「言葉の剣客」は、そういるものではない。特に、日本人には、
少ない。通常、こんなことをされたら、私は、塩味をきかせるために、自分
のハナクソを、その客に出すお茶にまぶしたりする。これは、内緒ね。でも、
この時は、ハナクソの「ハ」の字さえ、頭に浮かばなかった。
呆然と、あさりの味噌スープを持ち帰り、それを見つめながら、私は、
「やるよね。」とひとりでボソリとつぶやいた。
うーん。もし、生まれ変われるなら、私はそんな人間になりたい。
ひろ
@『南無阿弥陀仏国際化』
かなり前の事になってしまいましたが、ある新聞の時評欄にウォルフレン某
なる日本問題専門家と自称しているらしいオランダ人がフォリン・アフェア
誌に書いたという論文が紹介されてあり、日本人の役人で決定権のある程の
地位の人で英語のわかる人は皆無なので何を言っても無駄で、力ずくで目に
もの見せなければ日本人は動かないという主張だそうで「だから」日本人も
国際化をすすめる為にはもっと英語を勉強する必要があるという論調でした。
これを読んだ私はノーテンに来て「日本では公用語は日本語であって役人が
日本語しか話さないのは当たり前ではないか、そんな事を言うなら外国の責
任ある地位の役人に日本語が出来る人が何人いるというのか、日本問題で文
句があるのなら堂々と日本に乗り込んで日本語で苦情を言って貰おうではな
いか」という手紙を書いたのですが返事はありませんでした。大体そういう
記事を書くウォルフレン某にしてからが日本に30年以上も暮らしながら日
本語の資料一つ自分では読む事も出来ず、自分で直接日本語で取材出来る程
の日本語力すら無く、それでいて日本問題専門家とセン称しているというの
ですから下らないと言えばこれほど下らない話しも無いのです。ですからそ
の程度の人物が書いたものをわざわざ取り上げて論評する価値もなさそうに
思われるのです。それからしばらくたって、東京発の飛行機の中で九州のあ
る都市の職員をしているという若者と隣り合わせた事があり、この人は「最
近は日本にもガイジンが多くなって私なんかのいる窓口でも時々扱うんです
が、なにしろ私は英語が出来ないものでガイジンが来るとオタオタしてしま
うんですよ」と打ち明けてくれました。それで私はまた熱くなり「トンデモ
ナイ。あなたは地方公務員でしょ。日本では公用語は日本語でそれ以外の言
葉は正式に認めていないんですよ。だから貴方はかりに英語が完璧に出来た
としても立場上日本語以外喋ってはいけない筈で、もし相手が日本語が出来
ないという事であれば誰か日本語の出来る人を通訳として連れて来なさいと
言わなければいけません。貴方が自分でも良くわかっていないあやふやな英
語を使って、それを公務員の公式発言とされたら大変な事になりますよ」と
さとしました。私が最近日本ではやりのコクサイカなる空念仏に首をかしげ
るのはこういうところに原因があるのです。考えてもごらんなさい。日本人
がワシントンやパリやロンドンの役所の窓口で日本語を話し、何だこの連中
は、日本語も出来ないじゃないかなどと怒る場面を想像できますか。こうい
う基本的な姿勢を確立するところから国際化ははじまるのです。
美華蝶
お天気業界では、台風の「風速」などのことを「風の息」と言うそうである。
へー、なるほどね。 ひろ
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