1995年11月14日号
(No.88)
Nutsの表紙です
@週刊Nuts「平成の目安箱」
村山首相様
前略
ニューヨークは、そろそろ初雪の来そうな雰囲気ですが、東京はどんなも
んでしょうか?
さて、「ニューヨーク症候群」話の続きであります。
パリで、「パリ症候群」にかかりやすい日本人の最後の集団は、「現地雇
い組」だそうです。俗に言う、「現地採用」の方たちです。
『在外日本人』(晶文社)には、こう書いてあります。
「日本企業というのは、同じ学歴でも東京派遣組と現地雇い組の待遇が極
端に違うんですね。現地雇い組が極端に低い。にもかかわらず、東京出向組
は現地雇い組がいてはじめて業績をあげられているわけです。目立つところ
はすべて東京からの出向組にとられてしまう。人事権も東京からの指令で動
いている。そこで、心身のバランスを崩すんですね。「フランスのことをわ
かりもしないくせに・・・」という対応になる。」
そういう不満が募りに募って、精神障害を起こしてしまうらしいです。
では、ニューヨークではどうでしょう? おそらく、そういう方もいると
思います。
この「現地採用者の待遇」については、こちらでも問題になっています。
要するに「採用地の違いによる差別」ですね。現実はかなり厳しいらしく、
首切られるのも一番最初ですし、給料も東京組に比べると、相当低いようで
す。なんか納得いかない話です。もし私がその立場だったら、当然、イライ
ラプンプン状態になってしまいますし、ついでに、それに対して何もできな
い自分の弱さと悲しさを噛みしめ、そんな自分が情けないやら、東京組には
腹立つやらと、ココロは、大忙しとなってしまうでしょう。私も大学を卒業
したら、こちらでしばらく働くつもりですから、人ごとでは、ありません。
もし自分の待遇があまりにも悪くて、「こりゃ、シャレになりません。スー
(告訴)させて頂きます。」と動いて、結果的に勝ったとしても、その噂、
例えば、「あいつだぜ、あのAって会社を訴えたのは。生意気なヤツ。あん
なヤツ採ったらロクなことねえ。無視無視。」なんて話が、このニューヨー
クの日本人界中に広がったりなんかして、そんなことになったら、就職口さ
えなくなります。それよりもまず、企業と戦い抜く資金がないですけどね。
となると、結局、「現地採用」軍団は、いつまでも、欲求不満と屈辱感と
自己嫌悪の洗濯機の中で、もまれ続けなければなりません。その人々は、こ
ちらの日系企業で働く間、ココロに傷をつけ続けなければならないのです。
そんな訳にはいきません。やはりこの状態に対して何かやるべきです。で
は、どうするか?
いろんなことが考えられます。「会社側との対話」、「現地採用組合を作
り、団体として交渉」、「簡単にスー」などなど。もし私が本気でやるなら、
「スー」ですね。せっかく「訴訟国家・アメリカ」にいる訳ですから、ちょっ
と頭のキレる弁護士を雇ってですね、徹底的にやるわけですよ。アメリカの
世論は、絶対、「現地採用」側につきます。「日系企業は、日本の悪習(採
用地による差別)をアメリカにまで持ち込んで、オレたちに当てはめやがる
んだぜ!」とブチあげるのです。「大和銀行の例に懲りず、日本の企業は、
まだこんなことをやってるのか?」と世論なりメディアなりが反応してくれ
れば、こっちのもの。必ず勝てます。まあ、こっちでの再就職は、無理でしょ
うから、そしたら沖縄に戻って、また漁師します。ハイ。会社からブン取っ
た金で船かなんか買ってですね、毎日、サワラとかマグロとかカツオを水平
線の彼方まで追いかけ回すのです。すばらしい。問題は、訴訟資金なのです
が、それは、今から貯めとけばなんとかなるでしょ。お、ちょっと燃えてき
たかな。考えます。
今週は、そんなところです。では。 草々
「週刊Nuts」編集人 竹永浩之
「Nuts世界観光案内」アジア放浪編・パート11
ムエタイのワザは、独特である。
私は、ムエタイを始めた時、最初にこう誓った。「よし、あの蹴りとヒザ
蹴りをマスターしよう」と。
こんな格闘技のハナシには、興味のない人もいるかもしれない。私も、
「今年の流行の口紅の色は、これでー、えーと、それに合う洋服の色は、こ
れかな。いやーん。」というハナシには、まったく興味がない。だから、格
闘技無関心軍団にこの文を読むことを無理には勧めない。でも、一応、格闘
技のことを何も知らない人が読んでも分かるようには書く。よろしいかな。
まず、蹴りのハナシ。
ムエタイの特徴的な蹴りの一つに「前足の回し下痢」、あら失礼、「前足
の回し蹴り」というものがある。私がマスターしたかったのも、これである。
では、「前足の回し蹴り」とは、一体どんなものなのだろう。
この「前足」であるが、前足というのは、かまえた時、前に来る足のこと
である。当たり前やね。例えば、野球で、バットを持ってかまえた時、通常、
右利きの人は、右にかまえ、左利きの人は、左にかまえる。ムエタイや他の
「殴り合い蹴り合い」型格闘技も基本的には同じで、右利きの人は、左足前、
右足後ろ、左利きの人は、その逆となる。野球のかまえほどは、横を向かな
いけどね。要するに、かまえた時、利き腕が後ろに来る。
で、あるからして、右利きの私は、「左足前、右足後ろ」にかまえ、その
前に出ている足は、当然、「左足」となる。こいつを「回し」ながら蹴るキッ
クのことを「前足の回し蹴り」と言う。
この「回す」という行為の説明が結構ムズカしい。これは、別に「グルグ
ル回す」という意味でもないし、「グリグリひねる」という意味でもない。
簡単に言うと「半円を描く」という意味での「回す」である。分かるかなあ?
サッカーを例に取ると、ボールを蹴る時、足の甲に注目すれば、その蹴り
足は、ほぼ半円を描く。ムエタイの場合も基本的には同じで、前足の甲の軌
跡によって半円を描き、その甲の最終到達点が、この場合、ボールではなく
て、相手の頭であったり、脇腹であったりする。
また、ひとつ付け加えると、ムエタイの蹴りは、サッカーの蹴りとは違っ
て、「蹴りエネルギー」が横に走る。サッカーの場合、普通、下から斜め上
に向かって蹴り出すカンジ、つまり、「蹴りエネルギー」は、下から斜め上
に向かって走る。で、ムエタイの場合、左足で蹴る時は、左から右に足が流
れるから、「蹴りエネルギー」は、当然、左から右に走る。要するに「縦向
きエネルギー」と「横向きエネルギー」の違いなのよね。
このハナシ、つまんねえな。やめよかな。 Hiro
「VOICE」
@U・T子様
始めまして。私はアメリカ人の夫と”別居”して14カ月になる27才の
女性ですので、あまりご参考になるかはわかりませんが、私のケースをお話
しします。
まず、私は自分が21、だんなが20のときに親にも報告せずにCity Hall
に行き、せきを入れてしまったので、反対されたも何もないのですが、私と
しては覚悟をきめていて、「もし反対とでも言おうものなら親子の縁を切っ
てやる」と、かまえておりました。そして、もともと親との連絡をとらない
方なので、約1年後に”あのさー、私、結婚するかもしれないから”と軽く
言ったら、逆にNYという危ないといわれる都市に1人でいるよりは、だれか
といた方が安全だ、とよろこんでくれました。その何カ月後、2人で帰った
ときは、親戚に顔合わせなども、もちろんして、その時父親が言った言葉が
けっこう心に残ってて、そりゃそうだと言わざるをえない名言なので、ちょっ
と聞いてやってください。「女なんて、日本にいたって九州や北海道に嫁に
いったら、めったに会えないんだから、NYにいたって同じだ。」(ちなみに
私は東京出身です。) 娘を嫁にやった父親の強がりともとれますが、うち
は”親子の絆”がうすい方なのでこんなものでした。文面からすると、「ご
両親を大事にする優しい娘さん」でいらっしゃるようなので、むずかしいか
もしれませんが、あなたには、今4つのChoiceがあるように思われます。そ
れらは:1. あなたがわりきり、”親の説得なんて”と心を決めて結婚する。
2. 親をわりきらせる。3. 親をわりきらせられず、彼と別れる。4. 今のまま
Struggleし、親が納得してくれるまで結婚はしない。もちろん2. がBestなの
ですが、ここは、親改造講座を開いて、「親を大人」にしてはいかがでしょ
うか? そもそも、あなたは「親の大切な娘さん」の前に、1人の人間なん
だから、親御さんがどう思おうと、自分の信じた、やりたいことをやるべき
です。親に子離れさせるのは大変なことと思いますが、私はあなたの文章を
読んで、どちらとも、もっと”個人”にならないといけないんじゃないかなー
と思いました。親には「何、老後の面倒なんて言ってんのよ。私の人生、一
生あんたたちのこと心配してやっていけないわよ」と冷たく言うのも手かも。
あとは彼のご両親をつかって、アメリカにいても私たちがそばにいるので大
丈夫ですよ、という手紙を書いてもらうとか。うちの両親は日本語で「若い
2人ですが、○○(だんなの名)のご両親がそばにいて下さるので安心です。
宜しくお願いします。」みたいな手紙を私に送ってきましたっけ、1度。
私の友達はやはりこちらで黒人の男性と結婚して、実家(浜町です。静岡
の。)の親に言ったところ、猛反対をされて、2人で日本に帰ったときも、
親戚への顔見せというのはしたらしいが、”近所の目があるので”と、彼は
彼女の家に泊めてももらえず、町のビジネスホテルに泊まらされたとか・・・
それでも2人はHappyで、去年は子供も生まれ、やはり孫はかわいいらしく、
日本のおばあちゃんは、Baby服などを送ってくるそうです。「日本にいて、
とんでもないバカと結婚して不幸になるより、自分の選んだ信頼できる人と、
たとえ遠くにいても安定した生活をした方がいいでしょ? ちょっとは大人
になってよっ。」と言い放って、何事も「案ずるより、生むがやすし」です。
結婚してしまえば・・・?
(ちなみに離婚したら、ということまで親御さんは心配なさっているそう
ですが、”アメリカで何年か暮らしてたら、離婚したって蚊に刺されたくら
いにしか感じない強い人間になってるから大丈夫”と明るく言うのはどうで
しょう。縁起でもない話ですが、百万分の1で、もし離婚ということになり
でもしたら、そのときは又何らかのAdviceを差し上げられると自負しており
ますので、ご連絡下さい。)
Kazuko Uega Brown
@先週行われました、「日米カウンセリングセンター・チャリティー講演会」
の結果報告です。外は死ぬほど寒かったのにもかかわらず、100名以上の
方が参加されました。会場はほとんどパンパン状態でしたね。いやー、何は
ともあれ、よかったよかった。
突然、話が変わるのですが、最近、無言電話がよくかかってきます。今ま
で、無言電話を受けたことのない私としましては、何やら嬉しいやら恐いや
らと、複雑な心境です。先日もその電話がかかってきたのですが、しばらく
の間、耳を澄ましてよーく聞いていると、電話の向こう側でワープロの印刷
する音や、テレビの音が、微かに聞こえました。「あー、無言電話する人に
も、それなりの生活があるんだな。」とシンミリ思ってしまいました。憎ん
でいいのか、同情していいのか? 一度、お話しできるといいのですが・・・。
そんなところです。では、また来週。 編集人
@今、日本では、いたる所で、「規制緩和! 規制緩和!」と声高に叫ばれ
ている。
ここに、「日本にはどんな規制があるのか?」を具体的に説明する良い文
章がある。『官僚』(日本経済新聞社)からの引用。
『キャリアガールA子の一日』
「起床、洗顔=水道は地域独占、せっけんの油脂は輸入規制/朝食=パンは
小麦が食糧管理制度で規制/地下鉄で都心へ=運賃は認可、地下鉄のエスカ
レーターには速度制限/昼食は肉じゃが定食=豚肉にみそ汁の大豆は価格支
持制度/退社し美容院へ=理美容組合のカルテルは独禁法の適用除外/夕食
はさんまの塩焼き=さんまは漁業生産調整組合法による生産カルテル/ディ
スコへ=風営法で営業時間を制限/帰宅、郵便受けに手紙=郵便は独占」
これを読むと、なぜ私たちが、今、この街にいるのかがよく分かるわな。
ひろ
注)カルテル=ひとつの業界内で、「おい、みんなあんまり損しないように、
イイぐらいに価格を決めて、生産量もうまく調整しようぜ。」という決め事
のこと。これをやると、安売り合戦とか起きないから、消費者は損よね。
ニューヨークで、となりに座った日本人に「あのー、日本人ですか?」と話
しかけても、ナンパにはならない。この街のそういうところを強く愛す、今
日この頃であった。 ひろ
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