1995年12月12日号

(No.92)


                     Nutsの表紙です

@週刊Nuts「平成の目安箱」

村山首相様
前略
 私、風邪を引きました。十年ぶりの風邪です。たまには、いいものです。
 さてさて、またまた「ニューヨーク症候群」の話です。
 先週、お話ししましたように、先日、ロス日本人の方とお会いしたのであ ります。その時、何を話したかは、前回、ご説明しました。ただ、ひとつだ け、お話しするのを忘れてた事があります。「ニューヨーク日本人の愛想の 良さ」問題についてです。
 「ニューヨークの日本人は愛想が悪い」。そのロス日本人の方は言い切り ました。私も反論はしません。確かに悪いです。でも、この「悪い」という のは、こちらのアメリカ人と比べた場合、あるいは、アメリカの他の土地に 住む日本人と比べた場合であって、トウキョウ日本人よりは、まだマシだと 思います。
 では、何も持って、「愛想が悪い」とするのでしょうか? 例えば、「日 本人同志、道でフト視線が合った時、どう反応するか?」の結果に基づいて、 判断する方法があります。こういう事が起こった場合、ほとんどのニューヨー ク日本人(私もしっかりと含まれます。)は、「すぐに視線を逸らす。」の です。でも、これは、ロス日本人も同じらしく、日本人全般に言えることの ようです。アメリカ人などは、視線が合ったら、とろけそうな笑顔で 「ニコッ」っとしたりするのですが、日本人の場合は、そう簡単には行きま せん。まあ、トウキョウよりは、そういう事、つまり、「目が合って 笑顔 で返そう ニホンジン」的出来事が起こる可能性はありますけどね。トウキョ ウでそんな事やったら、おそらく変態だと思われてしまうでしょう。そう考 えると、トウキョウというのも寂しい街ですね。
 話を戻します。このロス日本人の方が、「ニューヨーク日本人は愛想が悪 い。」と言った理由、それは、「話掛けても、なんだか素直に返してくれな い。」からだそうです。話掛けても、「どこか引いてる。」らしいのです。 私が想像するところによると、その態度というのは、「人の話を聞くときも、 こちらを真っ直ぐ向かず、斜に構えて聞く態度。その時、アゴは少しナナメ 引き気味。視線も上目づかい、あるいは、上から見下し状態で、正面からの 自然体視線ではない。あまり自分の事を話そうとせず、相手を疑いの目で見 がち。」というカンジになります。そうでない人もいます。でも実際、私が 想像するような態度を取る人も結構いると思います(私もたまにやりますね)。
 ロス日本人は、そういう意味では、もっと愛想が良いそうです。少なくと も、ある程度真っ直ぐ返してくれるそうです。これは、先週お話しした、 「トシが若い」論などと深く関係してるのですが、ま、とりあえず、愛想が 良いのだそうです。
 では、なぜ多くのニューヨーク日本人は、アメリカ人、あるいは、アメリ カの他の土地に住む日本人に比べて愛想が悪いのでしょうか? はっきり言 いましょう。素直じゃないからです。屈折してるからです。私たちニュー ヨーク日本人の過去がそうさせるのか、それとも、このニューヨークという 街自体の雰囲気がそうさせるのか、分かりませんが、間違いなく大部分の ニューヨーク日本人は、素直じゃないのです。これを「陰がある。」とも表 現できるかもしれません。しかし、私は、そのふたつを一緒にしたくはあり ません。「正直素直な陰アリ人間」というのも存在すると思います。陰はあっ て結構。でも、それを素直でないことの言い訳には、使いたくないのです。
 私たちニューヨーク日本人は、もっと愛想を良くすべきです。もしそれが、 「素直じゃない」ために起こっているのなら、私たちはもっと素直になるべ きです。話し掛けられても正面から「いらっしゃい」と返せる真っ直ぐさが 必要です。だって、お互いその方が気持ち良いんですから。それと、視線が 合って、「ニコッ」と笑い掛けられた時の気持ちの良さ、みんな知ってると 思います。あれを日本人の間でやっても別に問題はないんですよね。
 そういう訳で、私も自分のこれまでの屈折した行動を見直し、「素直に歩 こう5番街」を合い言葉に、このニューヨーク生活、真っ直ぐ歩いていこう と思います。日本人の皆さん、「いらっしゃい」。
 では、また来週。             草々
              「週刊Nuts」編集人 竹永浩之

『Nuts世界観光案内・アジア放浪編 パート15』

 淡い恋の話をしよう。ホントに淡い話だから、過剰に期待しないように。
 ある夜のこと。いつものようにムエタイの練習が終わり、太郎君と一緒に カオサン・ロード沿いのレストランで、夕飯食いながら、ビール飲んでた時 の話である。
 となりに日本人らしき女性が座っていた。なぜ日本人と分かるかと言うと、 その手にしっかりと「地球の歩き方・タイ編」が握られていたからである。 トシの頃は、30前後。カンジの良さそうな人であった。
 最初に話しかけたのは、太郎君。いや、私だったかな? まあ、そういう 小さいことは、置いといて、何はともあれ、私たちは仲良くしゃべり始めた のである。
 確か東京の人だったと思う。ダンナさんと一緒に旅してるのだと言う。今 回は、彼女の方が一足先にバンコク入りしていて、ダンナさんは、明日着く とのこと。「ダンナがいる。」と聞いて、ココロのどこかで、ちょっとだけ、 ほんのちょっとだけ、「ムッ」としたけど、それは、もちろん、表には出さ なかった。  思った通り、カンジの良い人だった。それまで、毎日、ムエ タイ小僧たちだけを相手に日々暮らしていた私にとっては、なんだか気持ち よくて、少しココロがピンク色になるのを感じていた。
 人の目を見て話す人だった。自分のココロの中をのぞかれてるようで、最 初は少しオドオドしたけど、次第に慣れて、そのうちその真っ直ぐな視線が 心地よく、また、スキになった。
 3人で話してたら、いろんな日本人が集まってきた。同じ宿に泊まってる、 NTT職員。そのレストランに偶然居合わせた、旅好き日本人学生2人。総勢 6名でワイワイガヤガヤと話し始めた。話の内容は様々だった。「なぜタイ に来たのか。」、「日本では何をやってるのか?」、「これまでの旅の経験 は?」などなど。日本で大した立場があった訳でもなく、これが生まれて初 めての海外旅行であった私は、どちらかと言うと、静か目に、その輪の中で 振る舞っていた。
 いろんな日本人がいるもんだと思った。自分とまったく別の生き方をして いる日本人がいる、それも、かなりいるというのが、ボンヤリながら分かっ た。その頃、私はまだ大学生だったが、同じ大学生でありながら、この旅好 きの2人は、社会において、私には想像もできないような経験をしていた。 そのNTTの職員にしたって、一応、「社会経験」というものがあるらしく、 「社会の荒波」について、それなりに語っていた。
 「オレはこれまで何をやってきたのだろう?」。沖縄で毎日、海に潜り、 魚さんたちを追いかけていた日々を思い出しながら、私は、そんなことをフ ト考えた。「自分にとっては、価値のある経験だったと思う。でも、この人 たちにとっては・・・?」。自信がなかった。この人たちが、私の経験を面 白いものだと感じる、そして、それをこの人たちの前で話す自信が、その時 の自分にはなかった。自分が「フツー」からかなり遠いところまで来ている ことに何となく気が付いた。「フツー」が羨ましかった。
 その時、フト、ある視線に気が付いた。あの女(ひと)だった。あの女が 私をやわらかく見ていた。そして、私と目が合った瞬間、彼女は、ゆっくり と笑った。イヤミのない笑みだった。私も「ニコッ」と笑い返した。うまく 言えないけど・・・、何だかホッとした。
 バンコクの夜は、次第にさりげなく更けて行くのであった。つづく。 
                 Hiro

『VOICE』

@私が味わった悪夢は、集めていらっしゃる情報と少し違うかもしれません が、本当にいやな思いをしたので、お知らせしておきます。私の場合は、サ ブレットをした日本人女性についてです。
長年住みなれたアパートを引っ越すことになりました。このアパートの家賃 は、レントコントロールのため異常に低かったので、大家に内緒で、知人に 紹介されたこの女性にサブレットしました。大家に内緒にした理由は、家賃 をこのまま低く保ちたかったからです。この際、この女性のバックグラウン ドを調べませんでした。日本人を信用してました。
しばらくして、このアパートをこの女性が自分の家賃の節約のためかどうか 知りませんが、他の人に日割りで部屋を貸していることがわかりました。最 終的にはアメリカ人のボーイフレンドらしき人と同棲し始めたようです。な ぜそれがわかったかと言うと、シャワーの出が悪いと言ってきたので、修理 に行ったからです。この時この女性は部屋にいませんでしたが、明らかに部 屋の様子でわかりました。ついでに部屋を物色させてもらいました。冷蔵庫 に大量のマリワナがありました。個人でエンジョイするためにある量ではあ りませんでした。ここで、私が何を考えたかわかりますか。もし警察沙汰に なればもちろん私にも嫌疑がかかります。結局、私は部屋を出て行ってもら わなければならないことを、言わなければなりませんでした。その理由は、 ルームメートをおかない、と最初に決めておいたことに反するし、知らない 人が入れ代わり立ち代わり滞在するために、セキュリティーの問題もあるこ とでした。マリワナについては触れませんでした。ボーイフレンドから電話 があり、アパートからは出て行かないし文句があるなら裁判所で、と、かな りしたたかにでてきました。自分は今までにもこういう経験があるので、ど うすればよいのかよく知っていると言いました。あげくのはてには、自分は 黒人だから、こういうことは有利になるとも言いました。私を人種差別者だ と呼びました。明らかにこの女性は彼から入れ知恵されていました。本当は この男性とは話しをすべきではありませんでした。
この女性にこの男性に利用されているんではないか、と聞いたところ、本人 もうすうす気付いたらしく、もっといいアパートが見つかったらしく、出て いくことになりました。引っ越しが終わったらしいその日、大家からエマー ジェンシーの電話がありました。アパートに駆けつけ部屋に入って我が目を 疑いました。ごみだらけの部屋、全ての電球は割られ、電気コード電話線は 切られ、バスタブとキッチンシンクの排水溝にテープをはり水を出しっぱな しにしたので、水は漏れ出てそこらじゅう水びたしで下のアパートへも流れ ていきました。
これが私のニューヨークでした最悪の経験です。 匿名希望
@ビックな質問があります。かなり前から、疑問に思ってた事です。質問す る相手は、「簡単にアメリカ人男性に利用され、騙される日本人女性」の方 々です。
 「簡単にアメリカ人男性に利用され、騙される日本人女性」の皆さん、貴 方たちは、貴方たち自身のことをどのように見ているのでしょうか? みっ ともないことをしていると思っているのでしょうか? それとも、間違った ことはしていないと信じているのでしょうか?
 突然、こんなことを聞きたくなったのには理由があります。以前からよく アメリカ人男性(アメリカ人男性だけとは限りませんが。)がこんな意味の ことを言うのを直接的に、あるいは間接的に耳にしてました。
 「日本人の女性が一番。だって、金持ってる。」、「彼女たちは、自分た ちの外見に劣等感があるもんだから、美しいもの、つまりアメリカ人男性を 手に入れたいと思う。そのためには、身体も金も簡単に出す。」、「ちょっ と甘いこと言えば、すぐついてくる。」、「別れるのも簡単だし、こんな付 き合いやすい女性はいない」。
 私自身、こんな経験があります。あるパーティに行きました。そこにアメ リカ人男性と日本人女性のカップルがいました。ところが、この男、その彼 女を置いといて、他の女の子を口説いてるではありませんか。その場の連中 の話によると、この野郎、行く先々で同じ事を繰り返してるとのこと。「あ なた、彼女がいるじゃない。」と言われると、彼は必ず、「大丈夫。あの子、 日本人だから何にもわかんないし、わかっても何も言わないよ。」とホザく のだそうです。こういうヤツはグーで殴るに限るのですが、何も知らずにた たずんでいるその女の子を見てると、なんだかやりきれない気持ちになって、 その場をサッサと後にしました。
 このような経験が重なり、今回のような質問をしてみようと思ったのであ ります。
 「私は、そんなことない!」と言う方もいると思います。でも、ニューヨー クに住むすべての日本人が知ってるように、そういうふうに騙されている、 あるいは、モノのように扱われている日本人女性の方は、見事に存在します。 今まで、こういう議論がいろんなところで繰り返されてきたのも知ってます。 しかし、そういう場では、大体、「それは日本人男性による偏見だ。」とか、 「マスコミによるステレオタイプ化だ。」というふうに、議論がすり替えら れてきたような気がしてなりません。私が知りたいのは、「貴方たちは、貴 方たち自身を、どう考え、どう見ているのか?」ということです。「そんな こと、何でアンタなんかに話さなくっちゃならないの?」と反論なさるかも しれません。だったら、これだけは、教えて下さい。もし、あのアメリカ人 男性がパーティ会場で自分の日本人の彼女を置いといて、他の女の子を引っ かけようとし、その子に「うちの彼女は、日本人だから大丈夫。」と言って るのを私がまた聞いたとしたら、私は、いきなりその野郎の脇腹に回し蹴り をブチ込んでもいいのでしょうか? 同じ日本人として馬鹿にされたと思っ た時、それをすぐ行動に表していいのでしょうか? それとも、その子が自 分でこのアホ野郎のくだらなさに気づくまで、そっとしておくべきなのでしょ うか? 教えてください。
 この話は来週も続けてやりましょう。では、また来週。 編集人 

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Hiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net