1996年1月16日号

(No.97)


                     Nutsの表紙です



『Nuts世界観光案内』 アジア放浪編 パート18

 さて、先週のつづき。
 例の二人組は、私がニヤニヤしているのにも気づかず、誰も使っていない サンドバックに向かって突進して行った。
 私は、今から起ることを、じっくりと観察するために、横にあった長イス に腰を下ろした。彼らも自分が今からブン殴ったり、蹴ったりするサンドバッ クを確保したらしく、その前でエッチラホッチラと準備運動などを始めてい た。二人は、お互いにピリピリと意識しているようで、時々相手の様子をう かがったりなんかしてた。傍目で見ている私には、それがまた面白く、私の 顔は果てしなくニヤニヤして行くのだった。
 さて、二人は準備OKのようだった。でも、始めるきっかけが見つからない らしく、たまにお互いを見つめ合ったりして、モジモジ状態であった。何が 起こるか楽しみにしていた私は、「これはいかんな。」と思い、彼らに向かっ て手を振り、「さ、さ、さ、どうぞ、どうぞ、お始めになってください。」 というサインを送った。すると、彼らは、「ハ、ハ、ハ、ハイ!」というふ うにうなずいて、やんわりとサンドバックを殴り始めた。
 ところがである。どちらかが、いきなり強い蹴りを入れたのである。「バッ シ!」。シーンとしたジムに、その音がコダマした。それが、この二人の不 幸が始まるゴングだったのである。
 もう一方がすばやく蹴りを入れる。「バッシ!」。今度は、片方がパンチ。 「バン!バン!バン!」。そして、相手も「バン!バン!バン!」。こうやっ て、すさまじい「音作り」合戦が始まったのだった。
 それまで、ボーっと休んでいたジムの小僧たちも「なんだ?なんだ?」と 二人に注目し始めていた。それがまた彼らの興奮を間接的に高めることになっ た。そして、二人は調子に乗って、「ソリャ!」とか「ウリャ!」などと言 い始め、周りからの注目に応えようと努力していた。
 格闘技の心得は、二人ともあるようだった。あの鋼鉄のサンドバックをバ チンバチン蹴れるのだから、大したものである。蹴りもそれなりに腰が入っ ていて、蹴る度にサンドバックを吊るす鎖がキコキコと泣いていた。
 しかし、である。あっと言う間に、彼らの表情が歪み始めたのである。原 因は分からない。サンドバックが固すぎたのか。それとも、便意でももよお したのか。それまで景気良くジムに響いていた「バッシ!バッシ!」という 音が、次第に「ポコッ ポコッ」という音に変化してきていた。同時に息も あがっていた。ほとんどゼイゼイ状態であった。でも、止めるキッカケは、 彼らのまわり360度、どこを探してもなかったのよね。
 「そろそろ限界かな?」。私はボロボロの彼らを見ながら、そう考えてい た。「でも、もうちょっと行きたいね。せっかくタイまで来たんだし。ウフ フ。」と、ジムの隅っこで、私はひとり、悪魔の笑みを浮かべていた。  「お楽しみは、これからよ」。
 つづく。                 Hiro

『VOICE』

  @Hello! いつもNutsを楽しく読んでいます。
 「外国人にだまされる日本人女性」(も)面白いですね。(実は私も悪質 な奴にだまされた事があります。)
 しかし「だまされる」というのは、2次的なポイントで、「外国人に魅か れる日本人女性」として意見を言わせてもらうならば、やはりアメリカ人に は(アメリカには)、華があるってことだと思います。
 日本人としての劣等感というものは、女性の場合はあまりないと思います。 女性は「女性」という人種だから、”「三高」の次男がいい”というのと同 じレベルで”アメリカ人がいい”という考え方をしていると思う。男性がそ れを-がむのは、よく日本であった「あいつはアメリカかぶれだ」とか「へー、 アメリカに住むの? スゴイね」と言うような意識とそう変わりないですね。 でも、アメリカに住む事もアメリカ人の彼氏、彼女を持つことも絶対にステ イタスにはなりえないことなのに、ステイタスと思う人が多い(例えば、大 麻の入手先を知ってる事でさえ、ステイタスになってしまう)。まあ、タタ ミにちゃぶ台の夕食より、ダイニングでディナーの方が素敵だものね。その 方が合うという人もいると思う。
 男性に関して言えば、日本人が背が低いとか、夢がないとか思うことはあ るけど、性的には問題ないと思いますよ。ただ、くそまじめで一方的な人は 困るけど。Sex談義で「女の子は何もしなくていい」という男性の意見もあっ て驚いたのです。だから「外人とのSexは良いのか?」という妙な質問が出た りするのでしょうか? Sexする時は、私は良いSexを心がけていますが?  外人でも日本人でも。
 華のある男を追いかけるのもいいけど、まあ、私のようにだまされないよ うに。私の場合はほとんどサギにあったようなものだった(事業に必要なお 金を借してしまった)けど、他にも女がいるとか、実は結婚してたなんてザ ラですから。修羅場に対応できる「英語力」及び「精神力」は重要です。
 「日本人女性は外人にもてる」と言われてるけど、実は表面的なものかも よ。まあ、女だって遊びたいだけの場合もあるし、真剣になってしまう事も ある。「外人の彼ならタクシーまで見送ってくれたり、コート着るのを手伝っ てくれる位は当然」という私の友人の意見を覚えておきましょう。高ビーに なろう! 男性は劣等感をすてて、もっと格好よくなろう!
                     キヨコ(仮名)
@キヨコさん、お手紙ありがとうございます。面白く読ませて頂きました。
 さて、キヨコさんが非常に重要なご指摘をなさってます。それは、何かと 言いますと、「やはりアメリカ人には(アメリカには)、華があるってこと だと思います。」という部分です。
 この「アメリカ人及びアメリカの華」問題。これは、ビッグなテーマです。 今週は、この件について、深く潜ってみたいと思います。(キヨコさん、こ んな美味しいネタをくれてありがとう。)
 ここでは、「アメリカ人男性の華」に絞って、話を進めて行きます。  まず、私が「これぞ、アメリカ人男性の華!」と考えるものをご-介しま しょう。それは、1. 「その外見」、2. 「その愛情表現のうまさ」、3. 「その 間の良さ」、の3つです。
1. 「その外見」
 これは説明するまでもありません。要するに、カッコイイということです。 男性の私の目から見ましても、「このにいちゃん、カッコイイなあ。」、 「ゲッ、にいちゃん、ええケツしてるやん。」などと思うことがよくありま す。  
 では、なぜ私は、彼らをカッコイイと感じるのか? そこの部分をちょっ と考えてみましょう。
 ひとつは、「彼らの身体のバランスの良さ」というのがあります。これは、 特に白人系の方たちに言えることですが、顔ひとつ見ても、そうですし、足 の長さとか、手足の長さなども、かなり調和が取れてるように、私は感じま す。
 例えば、白人男性の顔ですが、一般に、目が大きくて、鼻が高くて、まつ げが長く、切れるようなアゴしています。そのバランスがなかなか良いので すよね。それは、身体に関してもそうです。足の長さと胴の長さのバランス とか、背の高さと手の長さのバランスとか、全体的に統一感があるような気 がします。ほら、華道ってあるでしょ、華、いけるヤツ。あれの美しさに近 いモノが、彼らの顔面及び身体には、漂っているんですよね。
 もうひとつの、私が「彼らはカッコイイ!」と感じる原因は、私の彼らに 対する「過去のイメージ」です。
 私がアメリカ人男性と初めて会ったのは、テレビを通してでした。それ以 来、かなりの間、私はテレビ及び映画などを通して、彼らとお付き合いして きました。で、テレビとか映画の中で、彼らは、いつもカッコ良かったんで すよね。まず、画面の中で活躍してるということ自体、カッコ良かったです し、鉄砲撃ったり、悪役をやっつけたり、宇宙にまで飛んでったり、たまに、 歌なんか謡ったりなんかして、そして、トドメに、これまた綺麗なねえちゃ んとイイ仲になっちゃったりして、いつも「ヌオ〜、カッコイイじゃ〜ん!」 と感じていました。
 こんな経験を通して、私の脳ミソの中に、「アメリカ人男性=カッコイイ」 という方程式が出来てしまいまして、今でも、彼らを見ると、「カッコイイ もの」と勝手に思いこんでしまっている、と私は思うのです。
 自分が「過去のイメージ」によって、「アメリカ人男性は、カッコイイ」 と思っていることを、実際に証明する術はありませが、「その外見」に付い てくる「過去のイメージ」が、私の現在の「アメリカ人男性観」に影響を与 えてることは、間違いないと思います。
 これらの2つの要因、「彼らの身体のバランスの良さ」と「過去のイメー ジ」が、私が彼らを「カッコイイ」と思う原因です。で、私は、彼らの「そ の(カッコイイ)外見」が「アメリカ人男性の華」のひとつと考えるのであ ります。強いて言うと、「直接見て感じる華」と言ったところでしょうか。
2. 「その愛情表現のうまさ」
 これは、日本人男性が下手すぎるというウワサもありますが、それは横に 置いといてですね、ここでは、彼らの、「その愛情表現のうまさ」について、 考えてみましょう。
 彼らは、うまい! 非常にうまい! すんごい悔しいけど、うまい!   私が何を言わんとしているか、皆さん、お分かりのことと思います。あの 身体を触るワザ、じっと見つめる目、そして、「この女ごろし!」と言いた くなるような、その愛のセリフ。たまりません。「ワシも女として生まれた ら、あんな経験、一度はさせて頂きたいもんだ。」などと、私も思ったりし ます。
 では、なぜ私は、「彼らは、うまい! 非常にうまい! すんごい悔しい けど、うまい!」と感じるのか?
 簡単に言うと、「女の人たちが気持ち良さそうに見える」ということです。 特にこれは、一部の日本人の女性に関して言えることですが、アメリカ人男 性の愛情表現を受けている彼女たちを見ていると、とっても気持ち良さそう で、嬉しそうです。時々、羽目を外して、「いや〜ん、ブチュブチュ、ベタ ベタ」となってしまう方もいらっしゃるようですが(こういう方をうちのレ ストランの寿司カウンターで時々見かけます。)、なにはともあれ、ある意 味ではスゴク幸せそうに見えます。そういう彼女たちを見ていると、「ケッ、 イチャイチャしやがってよう!」と思うのと同時に、「彼女たちをあれだけ 喜ばせる彼らの愛情表現は大したもんだ。」と感心してしまうのでした。
 日本で暮らしている時に、私はあのような愛情表現に実際に遭遇したこと はありませんでした。確かに、テレビとか映画の中では、かなり頻繁に繰り 広げられてましたが、私の実生活に、そのような「愛のテクニシャン」たち が踏み込んで来るようなことはありませんでした。そして、ここニューヨー クに来て初めて、彼らとそのワザに遭遇したのでした。
 それは非常に新鮮なものでした。そして、繰り返しになりますが、その行 為を受けている女性、特に一部の日本人女性の表情を見ると、日本人男性に 対しては見せたことのないような、楽しそうな、嬉しそうな顔をしているの でした。で、私は感じたのでしょう。「おや? あんな愛情表現、ワシャ見 たことないぞ。でも、彼らの接し方で、彼女たちは、あんなにハッピーに見 える。きっと、そのテクニックがうまいに違いない」と。
 ここでは、「うまい」という、ちょっと皮肉っぽい言葉を使っていますが、 私には別に悪意はありません。確かに、日本人女性に、あんな楽しく嬉しそ うな表情をプレゼントするアメリカ人男性が、憎いと言えば憎いのですが、 客観的に見ると、やはり彼らは、その愛情表現によって、彼女たちの心を、 きれいなピンク色にさせることが出来ます。その力は強く認めます。ただ、 問題は、その愛が「本気」か「ウソ気」かってことなのですが、それはまた 別の話です。
 という訳で、私は、彼らの愛情表現を受ける女の人たちが、とっても気持 ち良さそうなのを見て、「あれも、”アメリカ人男性の華”のひとつに違い ない。」と思うのでした。華は華でも、「あげて喜ばれる華」ってカンジで すね。
 今週は、ちょっとスペースがなくなりましたので、3. の「その間の良さ」 については、来週お話しすることにします。
 え〜、いつもの『平成の目安箱』のコーナーですが、日本の首相が村山さ んから橋本の龍ちゃんに替わりまして、総理府の中に設置してあります、 「平成の目安箱」Fax投書係が、そのまま存続するか、まだハッキリしてお りません。先日も、総理府のこの「平成の目安箱」担当の方とお話ししたの ですが、その方も、「いや〜、まだちょっと分かりませんねえ。」とおっ しゃってました。
 という訳で、このコーナーは、おそらく、ちょっとの間、お休みします。 一応、来週から復活する可能性もありますが、とりあえず、今週はお休みです。  そんなとこです。では、また来週。        編集人

『今週のひとこと』

「雪と雨のコンビネーションというのは、やめて欲しい。だって、道がグチョ グチョで歩けねえじゃん。  ひろ」

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Hiroyuki Takenaga ---hiro@interport.net