◆◆◆◆ New York Tabloid Magazine "Nuts Journal"◆◆◆◆
『NYタブロイド・マガジン "Nutsジャーナル"』
1999年4月5日号 NO.30
*今日のひとこと*
金箔がかけられたゴージャスな寿司を見て、ただひたすら感心した。
そのあまりの迫力に、それに手をつけることはできなかった。(こ)
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★ゲイ・ウォール・ストリート★
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小西樹里
マンハッタンのウォール街にある、ドイツの大手銀行「ドレスナー・バン
ク」で働くジョー・ダニエルはこの日、人生最大の決断に迫られていた。
これ以上、嘘をつくことには耐えられそうになかった。でも、休暇後、陽
に焼けて出勤してきたジョーが「どこに行って来たのか」と同僚たちに
聞かれたときから、彼の中の何かが崩れかけていた。同僚たちのその
なにげない質問は、同性愛者のジョーにとってはジレンマだったのだ。
ハーバード大学とイエール大学で博士課程を修了し、年間何十万ドル
の収入をかせぐジョーには、ちかじか副社長のイスが待っていた。しかし、
「ゲイ」の言葉が禁句の、この米国最大の金融街で働くうえで、嘘をつき
とおすにも限界がある。その気持ちがジョーに、ゲイの別荘地帯で有名
なファイア・アイランドへ休暇に行って来たことを告げさせていた。
ジョーがゲイであるという噂はあっというまに社内に広がり、上司や同僚
たちは急によそよそしい態度を取りはじめた。ほぼ確定してた副社長へ
の昇級もやってくる気配はなかった。この差別に耐えられなくなり、会社
にこのことを訴えると、ジョーは数日後に解雇された。その理由は彼の
行為が会社に不利益をもたらせたから、とのことだった。
いま、ジョーはドレスナー・バンクを相手に、75億ドルの賠償金を求めて
裁判の最中である。この訴訟は、ウォール街の同性愛者差別をはじめて
世間に公表することになった画期的事件だ。これが、ウォール街に軒を
連ねる大企業らが、ゲイやレズビアンの社員たちの存在を身近なことと
して考慮する、ひとつのきっかけになった。
財政界には「聞くな、言うな」という、同性愛に対する暗黙のルールがある。
個人的な生活をかくしていれば、ゲイやレズビアンにも出世のチャンスが
あるという了解だ。「性は仕事には関係ない」という一部の意見も、性の多
様さを受け入れられない人々には通用しない。そして同性愛者たちもこれ
までは、黙っていれば得られる巨額の収益を危険におかすことはしなかっ
た。だが、言い換えればこれは、人間の尊厳を金で取引しているという、
重要な道徳的問題につながるのだ。
「ウォール街の人々は、ゲイと取引する方法なんて学ぶ必要はない、と
思っている。自分は31年間の人生で、まだ一度も完全に容認されたこと
がない。これが現実なんだ。」
数年前、米国大手証券会社メリル・リンチを辞職した、あるゲイの男性の
言葉だ。
(参照・New York Magazine March 29, 1999)
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