◆◆◆◆◆New York Tabloid Magazine "Nuts Journal"◆◆◆◆◆
   『NYタブロイド・マガジン "Nutsジャーナル"』
   2000年2月15日号 NO.78
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============== ★ワンダフル・ニューヨーク★ ==============
小西 樹里
シンプルだが存在感のある書体の文字に、人々と街の風景が絵描かれた 表紙は色鮮やかで、思わず手に取ってしまいたくなる。「ワンダフル・タウン/ ニューヨーカー誌が選んだニューヨークの物語」というタイトルのその本は、 ニューヨークの住人でなくても興味を惹かれるに違いない、不思議な存在 感を放ちながら書店に並んでいた。
この本は文芸誌「ニューヨーカー」の75周年を記念して、過去に掲載された 短編の中からニューヨークに関する物語のみを集めた短編集である。先日、 2000年2月にランダム・ハウス社より発行されたばかりだ。
1925年2月21日に15セント(約15円)の値段で創刊されたニューヨーカー 誌は、この75年間に数々の新人作家たちを文壇に送り出してきた。創刊 時のニューヨーカー誌は街の小さなゴシップや奇談、評論などで構成され ていたが、1927年に編集長が変わったことで、フィクション小説が雑誌の 主流となっていった。現在も愛読者が多く、特にニューヨークの裕福な階級 には定着した、人気週刊誌である。
「ワンダフル・タウン」の44篇の小説には、ニューヨークにおける時代の移り 変わりや、移民が混ざり合うこの街の混沌とした複雑な事情が色濃く反映 されている。また、ニューヨーカー誌が支えてきた作家たちの動きも追うこと ができ、文学ファンには興味深い1冊でもある。
ひとつ目の作品、安アパートに住む売れないライターだったがニューヨーカー 誌にその文才を見出され、一躍売れっ子になったジョン・チーバーの「The Five-Forty-Eight(5時48分)」は、1950年代ニューヨークの労働者たちの 生活情景を巧みな描写で書き出している。一夜を共にした後、解雇した元 秘書から執拗につけ回される男性の話だが、その主人公の緩慢な日常と 社会への不満や諦めといった虚無の漂いが全体に現れている。
他にも、安ダイナーに集うドイツからの移民たちの風景や、そこでの男女の 出会いを書いたアイザック・B・シンガーの「The Cafeteria(カフェテリア)」、 D.J.サリンジャー、1951年の傑作「The Catcher in the Rye(ライ麦畑でつ かまえて)」の主人公ホールデン少年の動向が書かれた「Slight Rebellion off Madison(マディソン街での小さな反抗)」など、ニューヨークの特徴と登 場人物たちの事情が絡み合い、哀愁的な雰囲気を持つ作品が掲載されて いる。
ニューヨークのストリートで日常的に繰り広げられる人間ドラマが書かれた これら小説は、ニューヨーカーであることを誇りに思う人々から親しまれ、ま たこれからも受け継がれていくことだろう。現実で直面すべき問題はまだ多 いが、ニューヨーカーにとってこの街はいつも「ワンダフル・タウン」、愛すべ きすばらしい街なのである。
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【参考資料】
Wonderful Town: New York Stories from the New Yorker. Ed. David Remnick. New York: Random House, 2000.
 表紙と書評(英語) http://www.amazon.com/exec/obidos/ASIN/0375503560/o/qid=950639452/sr=2-1/102-6778749-5218426
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【今日のひとこと】 文章や絵、写真、ダンス、演奏など様々な方法で表現される、人々が 心の中に持つ言葉やイメージの豊さに驚嘆しまた羨望してやまない。(こ)
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「Nutsジャーナル」編集部

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